世界天文年2009日本委員会推奨日食グラス
日食を安全に観察するために
2009年7月22日、日本を含むアジア・太平洋地域で日食が起こります。日本では、全国で部分日食が見られるだけでなく、奄美大島北部、トカラ列島、屋久島、北硫黄島、硫黄島やそれらの周辺海域などでは皆既日食を見ることができます。 日本の陸域で皆既日食が見られるのは、北海道での1963年7月21日の皆既日食以来、じつに46年ぶりとなります。
今回の日食では、天文ファンはもとよりこれまで天文現象や日食にあまり関心が高くなかった人々もこの現象に注目し、観察を行うことになるでしょう。しかし、日食の観察には少なからず危険が伴うにも関わらず(※)、必ずしも太陽観察に熟知した指導者が近くにいるとは限りません。むしろ、多くの人々にとっては、適切な観察のナビゲータがいない状況で日食という現象を目にすることになるでしょう。
世界天文年2009日本委員会(以下、IYA2009日本委員会)は、誰もが日食を安全な方法で観察できるような太陽観察の手引きと太陽観察用器具(フィルタ等)の普及が重要と考えました。
そこで、既成の太陽観察用フィルタの中から、最も多角的に安全性を検証していると考えられる商品を選定し、当委員会および天文教育普及研究会執筆・監修の「取扱説明書/観察ガイドブック」を付属した上で、「世界天文年2009日本委員会推奨日食グラス」(以下、推奨日食グラス)としました。
日食を安全に観察するためには、安全性の高い太陽観察用器具を使用することはもちろんですが、加えて、その取り扱い上の注意を守り、正しい方法で観察を行うことが重要なのは言うまでもありません。
当委員会では、安全な方法で今回の壮大な日食を観察していただき、ぜひ多くの方々に自然現象のすばらしさ、そしてそのような現象をとおして培われてきた人間の英知を感じ取ってほしいと願っています。
(写真: 撮影/高橋 淳、協力/坂東市立七郷小学校)
※太陽観察に伴う危険について
世界天文年2009 日食観察ガイド - 危険回避のために
推奨日食グラスの安全性について
IYA2009日本委員会が推奨する日食グラスの選定理由と安全性についてまとめています。
遮光フィルタ(遮光プレート)の安全性
- 遮光性
- JIS規格(JIS T-8141)遮光度番号13に準拠した遮光プレートを使用(*1)
- 安全な太陽観察のために必要な遮光性について、メーカー公表の遮光性能が専門家(*2)によって示された基準を満たしている(*3)
- 眼科専門医師による評価
- 最近の医学による安全性の確認を目的として、日食網膜症に詳しい専門眼科医による遮光性能の評価とコメントを受けた(*4)
- 耐久性
- 遮光プレート素材にアクリル樹脂を採用していることから、傷や割れが生じたり、穴が開きにくい
フレームの安全性
- 形状
- 両目の周囲全体を覆い隠すような形状であることから、日食グラスと顔面の隙間から迷光が入りにくい
- 耳にかけるメガネ型のものとは異なり、手で持つことで長時間の観察を避けることができる
- 耐久性
- 耐水性フィルムでコーティングが施されており、破損しにくく、また遮光フィルタが脱落する可能性も低い
取扱説明書/観察ガイドブックを付属
- 注意事項を明記
- 日食グラス本体に、使用にあたっての重要な注意を明記
- 同封の取扱説明書に、使用方法、および安全上の注意、使用上の注意をわかりやすく記載。また、太陽(日食)観察の危険性について専門眼科医のコメントも掲載
- 日食観察についての解説
- 同封の太陽(日食)観察ガイドブックに、日食についての基本情報や日食の観察方法について記載
- 注記
- *1:日本国内には、太陽観察器具の遮光性能についてそもそも安全基準がないが、都道府県教育委員会が発行する学校向けの「理科実験・観察事故防止の手引き」等においては、太陽観察時には「JIS規格(T-8141)遮光度13の遮光性能を持つ遮光板を使用すべきと指示されている。
- *2:太陽観察の肉眼への影響を詳しく記述したものとして、以下の文献を参考とした。
- Chou, B. Ralph, 1981, Safe Solar Filters. Sky&Tel, August, 119-121.
- Chou, B. Ralph, 1998, Solar Filter Safety. Sky&Tel, February, 36-40.
- Chou, B. Ralph, Observing the Eclipse - Eye Safty And Solar Eclipses.
- *3:当委員会が独自に行った遮光性能の検証でも、上記 *2 の基準が十分満たされていることを確認している。遮光性能については、国立天文台先端技術センターオプトショップのSolidSpec370を使用、紫外〜近赤外線域(400-1400nm)における遮光プレートの透過度測定を行った。
(2009年7月追記)天文教育普及研究会世界天文年プロジェクト・ワーキンググループ内の有志による遮光性能の検証でも、上記 *2 の基準が十分満たされていることを確認している。天文教育普及研究会のウェブサイトで公開されている「太陽観察用各種フィルタ類およびその代用品の透過率測定(PDF)」参照。 - *4:JIS規格(T-8141)が本来は太陽観察器具の安全基準ではないことや、かつての医学的判断による指針であることから、あらためて評価を依頼した。

株式会社ビクセン製 世界天文年2009日本委員会推奨日食グラス(国立天文台版)
※商品販売元により表面イラストデザインは異なります
当委員会および天文教育普及研究会執筆・監修の「取扱説明書/観察ガイドブック」が付属
推奨日食グラスを入手するには
取り扱い代理店または販売店に直接お問い合わせください。
一部の科学館・プラネタリウム館等のミュージアムショップでも取り扱いがあります。
世界天文年2009日本委員会推奨日食グラス(ビクセン製)取り扱い代理店・販売店
日食の観察について
この推奨日食グラスを使用した太陽(日食)の観察のしかたについて紹介しています。
