世界天文年2009 日食観察ガイド

危険回避のために


太陽(日食)の観察にあたっては、それに伴う危険を理解し、安全に十分に配慮しなければなりません。
ちょっとした不注意や理解不足が重大な事故や健康障害を起こす可能性があることを知っておきましょう。

太陽観察に伴う危険:基本的な知識

太陽はとても明るい天体です

太陽の明るさは、1等星のおよそ1200億倍、満月のおよそ46万倍もあります。 夜空の満月ですらじっと見つめるとまぶしく感じますから、太陽の明るさは想像を絶するほどです。

そのため、太陽を肉眼で直接見つめることは、たとえわずかな時間(1秒足らず)でも目に重大なダメージを及ぼす危険性があることを知っておいてください。誤った方法での観察は、網膜障害(*)や視力を失う危険性があることを十分に知っておく必要があります。

*日食観察にともなう網膜障害は「日食網膜症」と呼ばれ、日食が起こるたびにその症例が世界中で報告されています

“まぶしくない”=“安全”は間違いです

たとえ、サングラスや黒い下敷きなどで太陽の光が暗く見えても、それは可視光線(人間の目が感じる光)を弱めているだけで、目に悪影響を及ぼす波長の光がさえぎられていない場合がほとんどです。いくら可視光線を弱めて“まぶしくない”状態で観察をしても、人間の目が明るさを感じない紫外線や赤外線などが、知らず知らずのうちに目に大きな障害をもたらす可能性があることを知っておきましょう。

安全に太陽(日食)を観察するためには、その安全性が確認された太陽(日食)観察専用の器具(日食グラス等)を使用することをおすすめします。

長時間の観察は危険です

太陽(日食)観察専用の器具(日食グラスなど)を使用しても、長時間続けて太陽を見続けることは避けてください。
専用の日食グラス等は、可視光線はもちろん、紫外線や赤外線などの有害な光線も弱めてはいますが、それらを100%さえぎることはできません。観察は適度に目を休めながら行いましょう。続けて見るのは、長くても2〜3分間を限度としてください。

 

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一般的にやってはいけないこと(危険を伴う観察方法)

太陽を直接見てはいけません

肉眼で直接太陽を見てはいけません

肉眼で直接太陽を見てはいけません。
たとえ、サングラスなどを使っても、太陽を直接見ることはたいへん危険です。

太陽(日食)観察専用の器具(日食グラス等)を使用してください。

日食の楽しみ方 - 専用フィルターごしに太陽を見る

一般のサングラスで直接太陽を見るのはやめましょう。
サングラスで太陽を見てはいけません

望遠鏡・双眼鏡を使って見てはいけません

望遠鏡や双眼鏡を使って見てはいけません

【警告】
望遠鏡や双眼鏡を使って直接太陽を見てはいけません。失明の危険があります。

日食の楽しみ方 - 望遠鏡で観察する

双眼鏡や望遠鏡で直接太陽を見てはいけません。
双眼鏡で太陽を見てはいけません

「君もガリレオ」望遠鏡を使って太陽を見てはいけません

世界天文年2009日本委員会の主催企画「君もガリレオ」プロジェクトで紹介している組み立て式小型望遠鏡(「君もガリレオ」望遠鏡)で、太陽を直接観察してはいけません。

また、「日食の楽しみ方」の「望遠鏡で観察する」で紹介している観察方法にもこの望遠鏡は対応していません。

「君もガリレオ」で太陽を見てはいけません
link「君もガリレオ」プロジェクト − 良くあるご質問:太陽や日食の観測について

カメラの光学式ファインダーで太陽を見てはいけません

日食をカメラで撮影しようとして、カメラを太陽に向けた状態で光学式ファインダーを覗くと、失明の危険があります。

危険を伴う減光方法

たとえまぶしくなくても、目に重大な障害をおよぼす可能性があります。
また、安全性に問題がある場合もあります。

×黒い下敷き、色のついた下敷き
×アクリル板、プラスチック板
×CD、DVD
×スモークガラス
×黒いゴミ袋、お菓子の袋など
×写真撮影用の減光フィルター(NDフィルターなど)
×ろうそく等で煤(すす)を付けたガラス板
×現像済みフィルムの黒い部分(切れ端)

上記の一部の方法については、正しい理解のもとに行えば危険を伴わないものもありますが、その際は必ず太陽観察について熟知した指導者といっしょに観察を行ってください。個人の判断や思い込みで観察を行うことはたいへん危険です。

黒い下敷きを使って見てはいけません
NDフィルタを使って見てはいけません
link天文教育普及研究会世界天文年プロジェクトワーキンググループ日食情報
  − 太陽観察用各種フィルタ類およびその代用品の透過率測定 (PDF, 308KB)

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日食グラスでやってはいけないこと(危険を伴う観察方法)

望遠鏡、双眼鏡と組み合わせて使ってはいけません

日食グラスは、肉眼で太陽を観察するために作られており、望遠鏡、双眼鏡、カメラなどの光学機器と組み合わせて観察を行うことは想定されていません。このような使い方をすること、設計上想定していない光が目に入り、障害を負う危険性があります。また、日食グラスや光学機器が破損、故障する恐れがあります。

日食グラスと双眼鏡、望遠鏡、カメラを組み合わせてのぞいてはいけません

日食グラスごしに双眼鏡をのぞいてはいけません。双眼鏡ごしに日食グラスをのぞいてもいけません。

日食グラスごしに双眼鏡をのぞいてはいけません

双眼鏡ごしに日食グラスをのぞいてもいけません

長時間太陽を見続けてはいけません

日食グラスごしに太陽を見る場合であっても、長時間太陽を見つめずに適度に目を休めてください。続けて太陽を見るのは長くても2〜3分程度としてください。

適度に休みながら観察するためにも、日食グラスはメガネのように顔に固定せず、手で持って使いましょう。

その他

日食グラスをつけたまま、歩きまわったり、自転車に乗ったりしないでください。

破損した日食グラスは使用しないでください。
また、分解したりしないでください。

使用にあたっては、商品の取扱説明書をよく読んで、使用上の注意や安全上の注意を守った上で観察を行ってく ださい

 

日食グラスをつけたまま歩きまわったり、自転車など乗物に乗ってはいけません、

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望遠鏡と太陽投影板を使うときの注意(危険を伴う観察方法)

太陽観察に対応していない望遠鏡・付属品は使わない

機種によっては、太陽投影板の取り付けができないものや、太陽観察に適さないものがあります。

アイピース(接眼レンズ)も太陽観察に適さないものがあります。

望遠鏡や、アイピース等の付属品が太陽観察に対応しているかどうかは、取扱説明書、またはメーカーや販売店に問い合わせるなどして確認をしてください。

日食の楽しみ方 - 望遠鏡で観察する

観察時の注意

観察者が誤ってファインダーをのぞき込まないように、取り外しておきましょう。
太陽を導入するときは、地面に写った影を見ながら行い、望遠鏡を決して覗かない方法をとりましょう。

観察者が投影板までの光路に手や顔を入れないように、細心の注意を払いましょう。
やむをえず指導者がその場を離れるときは、望遠鏡の対物側にキャップをするか、太陽を 視野から大きく外すようにしましょう。

太陽投影板を使うときは、光のあたるところに手や顔を入れてはいけません

光路中に体の一部を入れたり、覗こうとする行為は大変危険です。
手を入れるのはやめましょう 顔を入れるのもやめましょう

長時間観察を続けた場合、望遠鏡や付属品が熱で破損することがあります。もしも、望遠鏡や付属品に異常を感じたら、ただちに観察を中止しましょう。

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その他注意すべきこと

熱中症に注意

今回の日食は、炎天下での太陽(日食)観察になるため、熱中症には十分に注意をしましょう。
観察の際には、帽子を着用し、水分補給に努め、ときどき日陰で休憩をとりましょう。

帽子をかぶりましょう。
サングラスで太陽を見てはいけません

皆既日食を見る場合の注意

日食観察時に肉眼で直接太陽を見てよいのは、皆既中(太陽が完全に月に隠されている状態のとき)のみです。[写真左]
同じく、皆既になる直前と皆既が終わった直後のわずか数秒間の「ダイヤモンドリング」と呼ばれる現象の際も、肉眼で直接見ることが可能です。[写真中央]

部分日食のあいだ(太陽がすべて月に隠されていない状態のとき)の観察には、日食グラス等が必要になります。
また、皆既が終わり「ダイヤモンドリング」が見られた直後も、あっという間にまぶしくなり日食グラスが必要になります。[写真右]

皆既(日食グラス不要) ダイヤモンドリング(日食グラス不要) 部分日食(日食グラス必要)
皆既中は日食グラスを使わずに肉眼で直接見ましょう。日食グラスをかけていると何も見えません。 皆既が終わったとき(第3接触)のダイヤモンドリング。肉眼で直接見てよいのはここまでです。 わずか数秒間のうちに猛烈な光があふれてきます。つい見続けてしまいますが、肉眼で直接見てはいけません。日食グラスを使いましょう。
画像提供:大川拓也

部分日食のあいだは、絶対に肉眼で直接太陽を見てはいけません(日食グラスが必要です)

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観察にあたっては、必ず正しい観察方法を理解した上で、太陽観察に熟知した指導者の指示、あるいは自己責任の下で行ってください。
このウェブコンテンツは、今年7月22日に日本全国で見られる日食を多くの人々にたのしんでいただくための基本的な情報を提供するものです。
世界天文年2009 日食観察ガイド  企画/世界天文年2009日本委員会  制作/「世界天文年2009 日食観察ガイド」制作チーム